スパイク・リー, お前もか?” Spike Lee, you too?”

エンターテインメント

映画、アメリカン・ポップス好きとしては、80年代~90年代に青春期を過ごせたのは幸せな事と今更ながら思います。

エリック・ロメールの「モード家の一夜」と、ビクトル・エリセの「エル・スール」を見た時は、衝撃というよりも、”まさにこれが私の世界”、その印象は現在も変わらず。

モード家の一夜、今見ても全く色あせない各シーン
到底”自分の世界”とは思えなかったけれど衝撃を受け、アメリカ公民権運動への関心を与えてくれた、御大スパイク・リーの二作品、「ドゥ・ザ・ライト・シング」と「マルコムX」。

「ジャングル・フィーバー」でのハル・ベリーの汚れ役もすごかったのですが、この二作品以外のスパイク・リーと言えば、”噛みつきおやじ”。ありとあらゆる、非黒人以外の映画作品にケチをつける、バスケ好き(エアジョーダンのCM監督)の”怒れる”おじさんでした。

同じ映画好きの友人に勧められて、久々にみた彼の最新作、「ブラック・クランズマン」。

近年の秀作、「ゲット・アウト」や「グローリー/明日への行進」を見た際の興奮や感動よりも、スパイク・リー自身の過去の作品を思うと、”スパイク・リー、お前もか”としか言えません、ちょっとがっかり。

(下記映画のネタバレも含む恐れがありますので、ご注意ください。)

良かった点:

テレンス・ブランチャードによる安定感ある映画音楽。特に70年代のソウル・ミュージックがこの作品にかろうじて”ポップ、ヒップ感”をもたらしています。

「ヤング・アダルト・ニューヨーク」の頃からなぜか気になり、「マリッジ・ストーリー」で脱帽、アダム・ドライバーの好演!

実話とは信じがたい作品の題材:1970年代黒人刑事がKKK組織に電話でコンタクトを取り、同僚の白人(ユダヤ人)刑事が彼の名前をかたり潜入捜査をするという設定に目を付けた所、さすがスパイク・リー。

マイナス点:

お気楽なマイケル・ムーアよりも、スパイク・リーが現アメリカ大統領と、彼の支持者に激しい怒りを覚えているのは重々分かります。

でも「国民の再生」から始まり、差別的なアメリカ映画史と、現実に今現在アメリカで起きている人種差別主義を、フィクションである映画に散りばめてしまうという今回の手法。

映画史の知識があり、かつアメリカの現状とナイーブな”リベラル”に対しややシニカルに眺めてしまう側からすると、この”説教くささ”によりせっかくの”物語性”や映画の持つエネルギーが薄まってしまった気がするのです。

それだったら最初から最後までドキュメンタリーで取れば、臨場感を保ちかつ更に高める事ができるでしょうに

過大評価されがちなアメリカ大物女優過大評価されがちな彼女, ” She Is Over-Rated!”ほど、軟弱で現実ばなれしたリベラルではない、かつてあれほどのパワーとエネルギーで衝撃を与えてくれたスパイク・リー。

彼には、エンターテインメントに徹し、「ゲット・アウト」や「イングロリアス・バスターズ」のような過剰でブラックな笑いによって観客を圧倒してくれたら、という昔のファンの気持ちです。

 アダム・ドライバーは、ルックスには興味なし、更にハスキーでこもりがちの声が好みではなかったのに、「マリッジ・ストーリー」で披露したこの歌声にノックアウト。

この曲、ミュージカル『カンパニー』からの「Being Alive 」は大好きな一曲に追加。

 

そう、「Glee」でカートが歌っていたのを思い出しました!